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Laziness と Hard working
第28章 雅貴の父
「そんな事が
笑ってなんて
何を言っているんだ!」
雅貴はわからないだろうな
忙しく過ごし
家に帰って
お前が笑ってくれる
それが
私の力となっていたんだ
だが、いつからか
義弟に笑い
私に笑わなくなっていた
私はそれでも
必死に働き
父に認めてもらいたかった
そんな頃
康綱が
娘が七五三だから来ないかと
誘ってくれた
それがさっきの写真だ
驚くほど雅貴は喜び
杏ちゃんを可愛がって
僕にも妹が欲しいと
強請っていたんだ
覚えているか?
雅貴
「覚えているよ
あの子が
杏だとは思わなかったけど
僕のお嫁さんにすると
そう言っていたね
お父さん
偶然じゃない
杏と僕は必然なんだよ」
そうだな
凄い力を感じるよ
康綱が
遠くから見守ってくれて
お前たちを巡り会わせてくれた
それが康綱の望みだったから
私もな
だから
杏ちゃん
考えてくれないか?
先の事を
『今すぐに
お返事は出来ないです』
やっぱりな(笑)
頑固なところも父親譲りだな
康綱は
いつも私に言っていたよ
“先輩は先輩ですよ
凄い人になっても
どんな環境にいても
変わらずに
僕の先輩ですから”
杏の頬を涙が伝う
誰よりも
父親を身近に感じたのだろう
『⋯⋯おとう⋯さん⋯
⋯おとうさん⋯
わたし⋯謝らないと⋯
⋯ご⋯ごめん⋯ なさい⋯』
杏ちゃん
康綱は苦しんだんだよ
娘を守れなかったと
杏ちゃんが
口をきかなくなっても
恨み言などなく
杏ちゃんを思っていたから
謝ることなんてないんだよ
父親なんだ
身を切られるほど
辛かったんだ
何度も止めたよ
寒河江を殺したいと
そう言っていたから
結果、寒河江は殺されてしまった
因果応報だ
寒河江は自身の悪行が原因だが
良い人は早く居なくなる
康綱は早く行き過ぎた
杏ちゃん
雅貴を抜きで
康綱の話をしたいのだが
また私と話をしてくれるだろうか?
『⋯私⋯父に⋯
⋯酷いことを⋯
⋯うっ⋯ぅぅ』
杏は
声を上げて泣いてしまった
杏ちゃん
辛かったよね
大丈夫だから
康綱の代わりに
私が杏ちゃんを
見守りたいんだよ
「ふざけるな!
今更なにを!」
雅貴
お前も含めてだ
歩み寄り雅貴さんを
強く抱きしめた
ずっとこうしたかったのに