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Laziness と Hard working
第28章 雅貴の父
「何するんだ
離せ!
やめろよ
やめてくれ!今更」
悪かったな
寂しい思いをさせた
辛い思いをさせた
悲しい思いをさせた
心を凍らせて
感情も無くし
誰も信じない
そんな雅貴をずっと見ていた
悪かった
駄目な父親でごめんな
雅貴をずっと愛しているよ
今までもこれからも
「今更!
僕は杏さえ居てくれたら
もう何も望まない
お父さん
僕に構まうなよ
僕は」
雅貴は私を突き放す
杏ちゃんが雅貴の手を取った
ゆっくり
手を撫でる
「杏?心配したの?
僕は大丈夫だから」
震える声で話す
『雅貴さん
今日はこのまま帰りましょう
雅貴さんのお父様
父の話を聞かせてくれて
ありがとうございました
また、
お話を聞かせてください
雅貴さんは私の様に
まだ気持ちを
切り替えられないんです
私もいつもじゃないから
私と雅貴さんは
よく似ているの
それは父親としてならわかるはず
今はゆっくりさせて上げてください』
杏ちゃんがそう言うなら
雅貴を頼みます
心の傷は
まだ癒えてないんだね
杏ちゃんがいるから
もう大丈夫だと
思い込んでしまったよ
雅貴
悪かったね
食事でもと思ったが
今日は無理みたいだね
私の連絡先だ
プライベート用だから
杏ちゃんの都合でいつでも
連絡をくれたら良いから
杏ちゃんは
スマホを出し番号を入れ
電話をかけてきた
『私の番号です
直ぐにかけるかわからないですが
登録していいですよ
拒否しても良いです
お食事はまたの機会に
今日はこのまま
失礼します
ありがとうございました』
杏ちゃん
康綱は本当に
君を愛していたんだよ
この続きは
またの機会にゆっくり話そう
雅貴を頼むね
部屋から出ると
雅貴さんは私を抱きしめて
「あん
僕は杏だけ居てくれたら
他には何もいらないのに
まだ僕を苦しめるの?
あの人は」
『雅貴さん
お部屋に帰りましょう』
八雲は
成り行きを見ていて
このふたりの
傷の深さを改めて思い知った
どうにかならないのか?
と そう思う