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Laziness と Hard working
第28章 雅貴の父
杏ちゃんの手をぎゅっと握り
押し黙った雅貴
八雲を見て
そのまま通り過ぎようとした
〖雅貴
送るから
ちゃんと送るから
一緒に帰ろう〗
『お願いします』
杏ちゃんが返事をした
『雅貴さんは
混乱しているんです
今はお話出来ないみたい
早く部屋に帰りたいと
それだけみたいです』
〖あぁ直ぐに送るから〗
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
部屋に着くまで
ずっと私を抱きしめていた
『八雲さん
お茶でも
少し上がって待ってくれませんか?』
〖待つ?〗
『雅貴さんが
落ち着くまで
食事もしていってください
多分
そうしたいはずなんです』
〖良いのかな?〗
『雅貴さんが望んでいるので』
〖ひとことも話してないよね?〗
『何となくですが
雅貴さんの考えが
わかるんです
雅貴さんの側に居てあげて下さい
きっとその方が良いから』
と
杏ちゃんは
私に雅貴を預けて
部屋を出てしまった
「叔父さん
杏は何でもわかるんだ(笑)
やっと笑えるよ
父の話は衝撃だった」
それだけ話して
また押し黙ってしまった
〖雅貴
大丈夫なのか?〗
返事はない
ポンポンと
肩を叩くと
私を見上げる
ふぅ〜とため息をひとつ
〖雅貴
私に話してない事があるんだろう?
杏ちゃんは知っているんだな
だからふたりにしたのか?
今は話さなくても良いから
杏ちゃんは凄いよな?
何でもお見通しだ
でも何も言わない〗
僅かに
頷いたか?
何を話しても
返事を返さない
頷きもしない
俯いたままだ
しばらく私一人で
取り留めのない話をしていた
〖雅貴
私はあの時にお前を
救う?違うな
とにかく後悔しているんだ
義兄さんの話は
驚いたが
これも必然なんだと
杏ちゃんとお前と
やっぱり
出会うべきだったんだと
そう思うんだ〗
やっと顔を上げた
コンコン
『ご飯を食べませんか?
雅貴さんみたいに
美味しく出来ないけど
食べましょう』
チラリと顔を出し
笑って誘うんだ
杏ちゃんだって辛いはずなのに
「杏が作ってくれたの?」
『ありあわせだけどね
雅貴さん
ご飯食べようよ
私お腹空いちゃった』