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Laziness と Hard working
第29章 杏ちゃん 実家に帰る
『早く帰ってこないかなぁ』
そう言っていると
ただいまぁ
『お帰りなさい
ご飯先にする?
お風呂かな?
先ずはお父さんにだね
お兄ちゃん エヘへ』
お仏壇に報告している間に
セッティングをする杏さん
一人分 おおいよ
『お義姉さん
おめでとう』
杏ちゃん
ひとり分間違えているよ
『⋯』
“杏が揃えると
お父さんの分も出しちゃうのよ
気にしないで”
『ここはお父さんの場所だから
お父さんも一緒に祝いたいでしょ』
むきになっている杏ちゃん
可愛すぎて
私はずっと目で追いかけていた
“刑事さん
杏をどう思いますか?”
私はずっと警護してきて
本当に素直で可愛らしい方だと
そう思っています
私が知る女性の中で
誰よりも優しい素敵な女性です
“娘が好きですか?”
そうですね
でも恋愛の対象ではないです
私には決めた方が居ますから
“あら?
残念でした
こんなイケメンの刑事さんなら
お父さんも許してくれそうなのに
杏に誰か素敵な男性は
居ないのかしら?”
それは私にはわからないです
“警護中に男性と会うとか
杏はないのかしら?”
わからないですね
対象者のプライベートは
ご家族でもお話できません
“かたいのね
パパ杏は彼氏居ないのかしら?
坪倉の名が出た時
私びっくりしちゃった(笑)”
あのお義母さん
杏ちゃんは
何時もセッティングするんですか?
居ないのに?
“ええ
居ないのにって?
お父さんは何時も
あの場所に座ってるって
杏はそう言いますよ
私もパパはあの場所に
座ってるって思っています
居ないとか
そんな風に言われると
悲しくなるわ”
『どうしたの?
お母さん?泣いてるの?
お義姉さん
何があったの?
嬉しくて泣いてるの?』
杏ちゃん
私この家の事
何も知らないから
お義母さんを傷つけたの
居ないのにって
そう言ったのよ
『そうかぁ
父は今もそこに座ってます
だから
私はごはんでも何でも
このテーブルで何かする時は
父の分を必ず出します
お義姉さんもそうして欲しい
父が亡くなってからも
我が家の仕来りはそうだし
お兄ちゃんから
ちゃんと聞いた方が
お母さんと仲良くできると思うの
食事の後に少し私が解る事
話しますね』