この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Laziness と Hard working
第30章 嘘はつかないけど
「今城さん
杏の話では
貴方には大切な方が居るでしょ?
まずはそちらが先ではないですか?
フリーで無いのなら
杏が望むはずが無いんです」
«そうですね
どうかしてました
すみませんでした»
『今城さん
私はハッキリと言ったはずです
たまに遊びましょうと
貴方には大切な方が居ると
私には雅貴さんが居ると
そうお話しましたよね
お気持ちは嬉しいです
でも貴方の気持ちに
雅貴さんが居なくても
私は答えられないんです
貴方では
ダメなんです』
«なぜ?»
『それはお話できません
亡くなった父が坪倉のおじ様に
私を託したそうです
そして私と雅貴さんは
父と坪倉のおじ様と
約束していたそうです
私が大学を出たら
結婚させると』
«えっ?
婚約者なの?»
『私達は知らない所で
親が約束していた事
子供の頃に雅貴さんは
私の家に遊びに来て
私を気に入って
可愛がってくれたそうです
それを見た父達が決めたそうです』
「僕は杏に会っても
昔のことは思い出さなかった
でも誰よりも大切な人だ
今城さん
一時の気の迷いでは無いと思いますが
杏は今
僕の父の命を受けています
これ以上
父を待たせる事は困ります」
«杏ちゃん
いや藤井さんは
既に特別な人種の
仲間入りをしているんですね»
『雅貴さん
先に車に乗っていてください
今城さん
坪倉のおじ様に
迷惑をかけるわけには
いかないんです
私ごときがね
帰ったらちゃんと話しをしましょうね』
«ひとつだけ»
『貴方はスタートラインにも
立っていないです
この先も立てないですよ』
«なっ!»
『急ぐので
帰ったらお話しましょう
酷いと思って下さっても
構いませんから』
杏ちゃん
また先読みされた
そして私は間違えていたのか?
坪倉の邪魔はできない
なのに
私と向き合ってくれるのか?
何処まで良い人なのだろう
杏ちゃん
貴方を好きで居て良いですか?
何も望まないから
私は私の大切な人を
手放そうと考えた