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Laziness と Hard working
第31章 藤井家 の 人々
親が決めても
気にいらなければ辞めれば良いと
そう話して
婚約者として育てようとね
私が見守っている間に
ふたりは出会った
雅貴は杏ちゃんを
愛しているし
あとは杏ちゃん次第なんだよ
“杏はどうしたいの?
誰かとか考えないでね”
『私は雅貴さんと
どうしたいかわからない
父の事も家の事も
やっぱり私から離せない事だから
雅貴さんはもっと
素敵な人が良いと思います』
“杏! 家の為にとか
パパの事とか
何も気にしなくて良かったら?
杏はどうしたいの?”
『考えたことないよ
いつもお父さんがいて
私は周りの人が幸せなら
それでいいの』
「杏?
僕は周りの人にならないのかな?
一緒にいて欲しいよ
でも今みたいに
過ごしていても楽しいんだよ
一度にみんなに言われて
杏も考えが纏まらないよね
今日はこれで終わりにして
杏のお父さんが好きな
○○寿司にみんなで行こうよ」
“あぁ○○寿司
パパが大好きなのよ”
スッと立ち上がり
キッチンの椅子の背もたれを
前にして座った
まるで誰かに抱きつくように
独り言?
何かを話している
誰と?
そして泣いて
また話している
“杏はパパと話しているのね
パパは杏が幸せなら
それで良いと言っていたの
ねぇ坪倉さん
杏と雅貴さんは
お付き合いしているの?”
それは私では答えられないよ
雅貴と仲良くしている
それだけ答えられる
「僕は杏さんとお付き合いしたいです
お母さんとお兄さんが良ければ
僕は杏さんと家族になりたい
でも杏さんは
返事をくれないんです
色々と何度も話しをしたけど
スルリと手から離れてしまう」
“おつきあいししてるって事?”
「どうでしょう?
僕は杏さんが必要なんですけどね」
『雅貴さん
話しちゃダメです』
また椅子に寄りかかり
話しをしている
父と杏のお母さんは
昔話をはじめ
僕はお兄さんと話しをしはじめた
ふと杏を見ると
眠っている
まるで椅子に抱かれているように
スヤスヤと気持ちよさそうに
(オレには父がいる事が
感覚でしかわからないんだ
杏は父を見ているんだろう
もう少しあのまま寝かせて
父もその方が良いんだろう)