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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第28章  現実


「え? ココ、どこぉ……?」
 草原で、由麻菜は座り込んでいる。
「夢? 由麻菜ぁ、夢見てるのぉ? お兄ちゃんに、会いたすぎてぇ……」
「ここは、別の世界。どうしてか、あのシミから入れるんだ」
「別のぉ、世界ぃ……?」
 由麻菜は、自分の頬をつねっていた。
「痛い。夢じゃ、ないんだぁ……」
「危ないかもしれないから、街へ入ろう」
 まだ手をつないだまま、街のアーチをくぐる。
「うわぁ。RPGのぉ、世界みたいー」
 いつも、俺が思っている通りの事を言う。
「どうしてぇ? 何なのぉ?」
 正直、俺に訊かれても困る。俺だって、どうしてあんなシミが出来たのか、解っていない。
「えっ? これがぁ、500円?」
 俺を引っ張ったまま、由麻菜がショーウインドーを覗き込んでいる。中には、可愛いワンピース。
「間違えてない? 値札ぁ」
「ここは、物価が100分の1なんだよ。その代わり、食べ物は、解んない名前ばっかりだけど」
「100分の、1……。えっとぉ、じゃあ、ホントはぁ、5万、円?」
 頷いて見せた。
「何か買ってあげたいけど。元の世界に帰ると、消えちゃうんだ」
「そっかぁ……」
「えっと……。取り敢えず、2人切りになれる、場所に行こうか? あ、もう手を離して平気だよ」
 それとなくラブホ代わりの宿屋に誘ってみたが、手を離した由麻菜が走り出す。
「由麻菜ちゃんっ!」
 だが由麻菜は、数メートルで止まってくれた。
「なあに? ココぉ」
「おっ、可愛い子だねえ。ウチで働かない?」
 呼び込みの男が、由麻菜を誘っている。
「このコは、大事な姫だ。今日は、街を見せに来た」
「ヒメぇ?」
 それ以上訊こうとする由麻菜の口を塞ぎ、また手を引いて歩き出す。その間に、ここで俺が王族に見られる事を話した。
「由麻菜はぁ、お姫様かぁ」
 喜んでいる由麻菜を見ながらも、俺は裏路地に入る。
「うわぁ。綺麗っ、可愛いのもあるぅー」
 宿屋街だが、この世界でのラブホ街。
 由麻菜に好きな宿屋を選ばせ、その一番高価な部屋を取った。
 階段で3階まで登り、部屋に入る。
「可愛いっ。お兄ちゃん。アレ、なあにぃ?」
 目ざとく気付いたのは、部屋の奥の拘束器具。
「あれは……。その。色々と……」
 勿論、由麻菜に使う気は無い。


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