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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第28章  現実


「ダメぇ?」
 上目遣いで見られ、困ってしまった。
「食事する、店じゃないよ? 大人が行く、呑み屋だから……」
「だってぇ。由麻菜くらいのコの写真がぁ、いっぱいあるよぉ?」
 ロリちゃんと呑んで、セックスする為の店だとは言えない。
「あっ、おじさーん。遊びに来たのぉ」
「ゆ、由麻菜っ」
 由麻菜が呼び込みに声を掛けたせいで、結局入るハメになってしまった。
「うわぁ……。可愛いっ。女のコもぉ、みんな、アイドルみたいな服だぁ」
 店内はロリちゃんの店らしく、ピンクとフリルとレースの世界。
「由麻菜。お酒だけは、絶対にダメだからね」
「うんっ。解ったぁ」
 現実世界では、勿論こんな店に行かれる年齢じゃない。それに、買った物は戻ると消えてしまうのに、アルコールや食事だけは何故か残る。体内に入った物は、別なんだろうか。それは以前から不思議だった。
 ボックス席に案内され、由麻菜が嬉しそうに座る。
「いいなぁ、こうゆうソファー。由麻菜もぉ、欲しいなぁー」
 ピンク色のソファーを強請っている様子ではなく、独り言。
 店側にはまた王族だと思われているのか、丁寧すぎる態度で接してくる。
 いつもと同じように、一番高いボトルを頼んだ。800円と書いてあったから、カナリの高級店らしい。
 換算すれば8万円。
「どのような女の子を、お付け致しましょうか」
 黒服に訊かれると、由麻菜が声を上げる。
「13歳のコぉ! 由麻菜とぉ、同い年のコぉ」
「承知いたしました」
 由麻菜は、同い年のコと普通に話すのが少ないのだろう。学校は通っているが、休みがちになるはず。昼間もよくテレビに出ている。そのせいで、友達も出来ないかもしれない。登校しても、人気アイドルの瀬戸由麻菜として見られているだろうし。
「いらっしゃいませ。カナです。よろしくお願いします」
 黒服に連れられて、女のコが来た。
 いつもなら「可愛い!」と見惚れてしまうが、由麻菜の手前、そうもいかない。それに、可愛さでは由麻菜の方が断然勝っている。
「何かこのコに、ジュース頼んで? ピッチャーで」
「はい」
「さっきのぉ、美味しかったぁー」
 ゲムジュースの事だろう。
 取り敢えずは、それを頼んでもらう事にした。


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