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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第28章 現実
「うちの子が、何か失礼でも……」
「そうじゃないんだ。カナちゃんはいいコだったよ。ちょっと、頼みがあるんだけど」
「お申し付けください」
俺は、この店の部屋だけを借りられないか訊いてみた。
「それは……」
黒服によると部屋の貸し出しは可能だが、一応誰かを指名して、指名料と部屋代が必要になるそうだ。
勿論それは構わなかった。高級店といえ、100分の1の金額だ。
このまま外へ出たら路上で、「さん、ぴぃーって、なあにぃ?」が続くかもしれない。
了承して一応カナを指名にし、由麻菜と2人だけで使える事になった。
3時間の部屋代と今までの料金を含め、2600円を先に支払って部屋に向かう。
換算したら26万円。本当に超高級店だった。
それでも2600円なんて、現実世界では居酒屋がやっとだろう。大して懐は痛まない。
「わぁ……。ここもぉ、可愛い―」
「それでは、失礼致します。ご指名、ありがとうございました。ごゆっくりどうぞ……」
ドアを開けてくれたカナが、お辞儀をして戻って行った。
「またぁ、アレがあるぅー」
由麻菜が、隅にある拘束器具を指差す。
「ああ……」
俺はソファーに座った。
さっき頼んだ物は、全てテーブルに揃っている。自分でグラスに氷を入れ、ウイスキーだけを注いだ。
「あ……。ベッドぉ……」
呟きながら、由麻菜も隣に座ってきた。
「料金を払えば、指名した女のコと、ここでセックス出来る店。この世界の呑み屋は、全部そういうシステムだから。3Pって言うのは、3人でセックスする事。男か女、どっちかが2人で、3人」
「ええっ……」
由麻菜は大きな目を更に見開いて、俺を見ている。
「お兄ちゃん。この世界に、通ってたのぉ? さんぴぃーもぉ、した事、あるのぉ……?」
「ああ……」
少しの酔いも手伝って、ヤケクソ気味。
「それで、嫌いになったんなら……」
由麻菜に抱き着かれて、グラスを持とうとした手を止めた。
「お兄ちゃんはぁ、オトナだもん。でもぉ、もう他のコとはぁ、しないで、欲しい……」
「今も、これからも、由麻菜だけだから」
由麻菜を、傷付けてしまったかもしれない。
だが、この世界に来るのは今日で最後にしようと誓った。