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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第28章  現実


 父親に促され、俺も椅子に座る。その横に、由麻菜が座った。
 母親が手土産をそれぞれに出してくれてから父親の隣に座ったが、緊張で喉を通らない。
 暫く両親と他愛ない会話をしていると、由麻菜が肘でつついてくる。
 暑くもないのに、汗が出てきた。
「あの……。ゆ、由麻菜さんが、16歳になったら、け、け、結婚させて、ください!」
 テーブルに当たりそうなくらい、頭を下げる。
 顔を上げると、父親の顔が考えるような表情に変わっていた。
 やはり、こんな俺じゃ無理なのだろうか。由麻菜は1人っコ。財産目当てだと、思ったのかもしれない。
「由麻菜が20歳になるまでは、子供を作らないと、約束出来るかな?」
「はいっ!」
 あっちの世界でヤりまくってはいたが、由麻菜の生理が始まってからは、コンドームを使っている。
「婚約者になるなら、正式な結納を、お願いしたんだが」
「は、はいっ! 勿論です!」
 考えていた以上に、すんなりと話は決まってしまった。喜んだ由麻菜が、俺の腕にしがみついてくる。
「お兄ちゃんはねぇ、ぜーったいにぃ、由麻菜を、幸せにしてくれるからぁ」
「はいっ! 絶対、幸せにします!」
 両親とも微笑んでくれた。
 大事な1人娘を嫁に出すのは、父親にとってつらいと聞く。将来女のコを持たなければ、実際には解らないが。
「女性はね。好きな人と結婚出来るだけで、幸せなのよ」
 母親らしいフォローに、何となく安心してきた。
 その後は結納の日取りをある程度決め、由麻菜の家を出る。その足で、今度は俺の実家。
 由麻菜が全く緊張していなかったせいか、俺の両親はテレビ番組のドッキリかと疑ったくらいだ。
 結納の日取りはすぐに決まり、その日は厳(おごそ)かに事が進められた。
 驚いたのは、由麻菜がそれをバラエティー番組で発表した事。俺は一般人だから顔にモザイクがかけられたが、やはりネットには写真が流出してしまった。大学の時の物だから、気付く者はすくなかったが。
 だが、もう正式な婚約者だ。堂々としていればいい。
 正式に結婚するまでは、セックスはあの世界だけ。それだけは守っている。
 由麻菜の父親に言われた通り、妊娠はしないように。


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