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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第35章 麻菜ちゃん怒る
歩いていると、彼女が腕を組んでくる。
「はぐれちゃいそうだからぁ。ごめんなさぁい」
高校生くらいなら、恋人として付き合っても普通かもしれない。世の中に批判される事も、無いだろう。
俺は、麻菜の人生を狂わせてしまったのかもしれない。
麻菜だって中学生にでもなれば、年相応の彼氏が出来たかも。
「あっ。忘れてましたぁ。私、絵里奈(えりな)ですぅ」
「俺は……」
「お兄ちゃんて呼んで、いいですかぁ?」
絵里奈といるのは、後少しだけだ。それなら構わない。
話しながら歩いているうちに、結局ビルの中まで一緒に回る事になってしまった。
麻菜が気に入る物はないかと店を覘くが、あるのはTシャツくらい。他の服は、俺からして麻菜にまだ着て欲しくないものばかり。
絵里奈は、大人っぽい服を買っていた。
「……疲れましたねぇ」
そう言いながらも、絵里奈は裏道へ入って歩き出す。
「あっ。休憩出来る所がありますよぉ」
いつのまにか、ラブホ街。絵里奈が一件の入り口を指差している。
「入りましょうよぉ。ここは私が、払いますからぁ」
絵里奈に腕を引かれた。
冗談ではない。美人局(つつもたせ)かもしれないし、そうでなくても入る気は無かった。
「バカ! エッチ! 変態!」
聞き覚えのある声。
麻菜が電柱の蔭から出てきて、スマホの写真で連写をしている。
「麻菜! 違うよ!」
絵里奈を振り切り、麻菜の方へ行った。麻菜は踵を返し歩き出そうとする。
「待てよ、麻菜っ」
肩を掴むと、それを振り払われた。
「触らないで!」
振り返った麻菜は、泣いている。
「じゃあ、私。帰るねぇ……」
絵里奈は、そそくさと退散していった。
「し,知り合い!?」
「同級生の絵里奈。お兄ちゃんがイジワルだから、昨日、頼んだの」
美人局以上に、タチが悪い。
「他の写真も、いっぱいあるんだからっ。絵里奈と、楽しそうにしてるところ……」
「だったら麻菜。俺と、ここに入れる?」
「え……」
流石の麻菜も戸惑っている。
「だって、お兄ちゃん。絵里奈と入ろうとしてたじゃない! 誰でもいいんでしょ!?」
「誤解だって。俺が好きなのは、麻菜だけだから……」
麻菜を強く抱きしめた。
「ホント、に……?」