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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第40章  01 初めての世界


 一緒にシャワーを浴びてからソファーに座り、呑みながら色々な話を聞いた。
 アスカが飲んでいるのはガバクジュース。
 彼女は俺が“トウキョウ”という国から来た王族だと思っているから、庶民のことを知らないと取ったよう。
 農場や工場で働くコもいるそうだが、クラスの半分はこういった呑み屋らしい。
 セックスをするのも違法ではないと聞き、なんていい世界だと思った。
 西暦を聞いたが、現実世界からしたら遠い未来。
 別次元に存在すると実感した。
「お兄ちゃん。また来てくれる?」
「ああ。また来るよ。写真、撮っていい?」
「写真? ここで?」
 アスカは不思議そうな表情だが、ダメとは言わない。
 鞄からスマホを出すと、アスカが覗き込んでくる。
「これで、写真が撮れるの?」
 一枚撮って見せると、アスカは本当に驚いていた。
 訊けば、写真は写真屋という所で、大きな機械で撮るそうだ。
 日本で言えば、全て大正や明治時代のよう。勿論俺はその時代に生まれていないが、テレビで観たことがある。
 まさか。
 遠い未来には、文明が衰退している?
 考えるのをやめた。
 どうせ、俺が生きている時代じゃない。
 俺は、俺の時代を楽しむしかない。
 何枚か撮ってスマホをしまう時、アスカが鞄を覗き込んできた。
「それ、なあに?」
「え? どれ?」
 別に、見られて嫌なものは入っていない。
「取ってみて、いいの?」
「いいよ」
 アスカが出したのは、底にあったゴム。
 髪を結ぶものだが、俺はたまに袖口を留めるのに使っていた。
「あっ。伸びる。ゴム?」
 この世界にも、ゴムは存在するらしい。
 でもアスカが手にした物は、周りが生地のような素材。輪ゴムとは違う。
「貸してごらん?」
「うん」
 もう一つも出し、アスカの髪をツインテールにした。
「見てくる」
 アスカは浴室へ行き、上機嫌で帰って来る。


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