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化粧彫り
第1章 牡丹
うとうとしていると母の部屋で何か物音がする。
どうしたんだろう?具合でも悪いのかな?

…と思っていると、やがて母の声が聞こえてきた。
それはいつも聞いている声音とは全く違う、甘く切なく訴えるように
それでいてとても嬉しそうに…媚びを売るように…
合間に吐息と嬌声が混じっている。


私だって子供じゃない。
母の発する声の意味するものに気がついた。


…そんな…他人の行為なんて覗くものじゃない。

頭ではわかっている。
でも…その妖しい誘惑に私は抗うことができない…

私は痛む身体をずるずると引きずりながらその部屋の扉に近づき


そっと…


薄暗い部屋の中で母の白い裸体が浮かび上がるように目に飛び込んできた。
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