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化粧彫り
第1章 牡丹
父の仕事が彫師だということをこの時初めて知った。

彫師と言っても江戸時代など版木に絵や字を彫りいれる人のことではなく
身体に画を描く…刺青… TATTOO…

こまかい針を身体に刺して画を描いていく。
その痛みは大の大人でも悲鳴を上げるほどだという。
肌からは絶え間なく鮮血が流れ、傷口は腫れあがり
本人の体力も消耗するため気絶することもある。


最初でこそ私も抵抗を試みたが、すぐにその気力も体力も失せてしまう。
全身から汗が吹き出し、痛みで何度も気が遠くなる。

ロープを解かれても私は布団から起き上がることが出来ない。
私はただされるがまま…意識も身体も何の感覚もわからなくなってしまう。

痛みで目が覚める、痛みで意識が遠のく…その繰り返しだった。
時折、母がトイレに連れて行ってくれて、食事を口に運んでくれる。

食欲は全くわかない。
それでも口に入れば自然と嚥下をしてしまう。


母は私と目を合わせようともしない…


真夏の暑い部屋で狂気の時間が過ぎていく。
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