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愛されたいから…
第7章 南郷の自宅
南郷さんが俺に追いつく前には俺が飛び込んだエレベーターの扉が閉まり、マンションの前で俺はタクシーを拾っていた。

タクシーが発進する時には俺にマンションから出て来た南郷さんの姿が見えたけれど、俺は泣きそうな自分に堪えるのに精一杯で必死の思いで家に帰っていた。

家に帰ってからすぐに旅行の荷物をまるごと洗濯機に放り込んでから風呂に入って俺は自分への惨めな憎悪や嫌悪感を洗い流していた。

そしていつものように俺は裸のまま自分のベッドに潜り込む。

ベッドの中では一気に涙が出て来て俺は本気で泣いていた。南郷さんにとっては俺はただの遊びの存在だったという事実に俺は死にたいくらい傷ついていた。

恥ずかしい…、俺だけが馬鹿みたいに浮かれて南郷さんの恋人気取りだったなんて…

俺だけが本気で南郷さんに感じていた。南郷さんは俺になんか感じていなかったんだ。そう思うと涙が止まらなくて俺は男なのに、わんわんと1人で叫んで泣いていた。

しばらくして、俺は眠っていたらしく、誰かが俺の頭に触れる感覚で目が覚めた。

『起こしたか?』

そう言って俺を心配そうに見ている南郷さんの顔が俺の目の前にあった。俺は飛び起きて

『何してんですか!?どうやってここに!?』

と馬鹿な事を言っていた。

いや、南郷さんにこの家の鍵を渡したのは俺だった…

そんな自分の馬鹿さ加減に俺はまた泣きたくなって来た。だけど南郷さんが俺の頭を撫でたまま

『何を怒ってんだ?なんでイルマが泣く?』

とか聞いて来る。

当たり前だろ?

そんな風に思っていた俺は自分の恥ずかしさを隠したくて八つ当たりするように南郷さんに腹を立ててそう言いたくなっていた。

俺の頭にあった南郷さんの手を払い除けて俺は

『なんでもないです。帰って下さい。』

と言っていた。本当はこの場から俺は逃げたかったけれど、今の俺は真っ裸で昨日まで着ていた服は全て洗濯機の中だから、ベッドから出てクローゼットを開けないと着替える事すら出来ない状況だった。

だから俺は南郷さんにこの部屋から今すぐに出て行って欲しいのに、南郷さんは

『嫌だ。イルマがちゃんと話さないなら俺はここに居る。』

とか俺に言って来た。
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