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喝采
第4章 ヨハネ受難曲
「なあ、玲音。どこかになんか食いに行かねえか?」
「すまない。今日は遠慮する」

 ゲネラルプローべ終了後、谷田部は再び雫石を誘ったものの、雫石には素っ気なく断られてしまう。だが誘ってくれた谷田部に悪いと思ったのか、雫石は少し思案した後言い足した。

「……明日なら構わない」
「谷田部っち。玲音に振られたんなら僕とデートしない?」
「ぐえっ、斉賀さん!?」

 突然、谷田部は背後から首を絞めあげられた。見るとカラフルなレインボーストライプの腕が、首に巻き付いていた。谷田部は長身なので、平均的な身長の斉賀が腕を巻き付けると首が後ろに反らされて非常に苦しい。

「ね、いいでしょ? 今日は奥さんいなくてつまんないんだもん」
「なに子供みたいなことを言ってるんですか。……わかりました。付き合いますから腕を離してください」

 ようやく斉賀の腕から解放され、谷田部は大きく息を吐いた。

「アリガト。玲音、谷田部っち借りていくからヨロシクね」

 斉賀はなぜか雫石に承諾を求めた。話を振られた雫石はあっさりと斉賀にうなずく。

「どうぞご自由に。借りるもなにも、彼は僕の物ではありませんから」
「そう? それじゃあ行くよ。 玲音、また明日ね!」

 谷田部は斉賀に引きずられるようにして、ホールを後にした。
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