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喝采
第4章 ヨハネ受難曲
 斉賀の指揮による「ヨハネ受難曲」はいよいよクライマックスを迎えようとしていた。

 バッハの「マタイ」と「ヨハネ」二つの受難曲はそれぞれの福音書の性質をうけ、音楽的にもその性質を異にしている。

 物語のクライマックス、イエスの最期の場面でも、違いは明白だ。

 「神よ、なぜ我を見捨てたのか」と嘆くマタイのイエスに対し、ヨハネのイエスは「成し遂げられた」と満足して事切れる。

 「ヨハネ受難曲」で「成し遂げられた」と歌うのはアルトだ。バッハは二つの受難曲どちらも重要な場面にアルトのアリアを挿入していた。バッハの生きていた時代、教会で女性が歌うことは禁じられていた。そのため受難曲でアルトを担当するのは、男性のカウンターテノールだった。

 雫石が立ち上がった。
イエスの最期を受け、切なく歌われるアリア。雫石の不思議なカウンターテノールで歌われると、バッハはなぜアルトにこのアリアを歌わせたのか、谷田部にもわかる気がした。

 バッハは男でも女でもない、天使の声を必要としたのだ。
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