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喝采
第6章 クリスマスオラトリオ
「うめーな、これ。ウインナーシニュッツェル」
「シュニッツェル」
「大して違わねーよ」
「全然違う。言葉を大事にしろと言ったのは拓人の方だろう」
「まあな。でもこんなところでいちいち挙げ足を取るなよ」

 やがて運ばれてきた料理を口に放り込みながら、谷田部はこっそり店内を見渡した。数組の外国人客と谷田部たち以外は、すべて男女のカップルでテーブルが埋まっていた。

「さすがクリスマスイブだぜ。男同士は浮きすぎる。それにしてもクリスマスイブで浮かれまくってるってことは、こいつらみんなクリスチャンなのか?」
「敬虔なクリスチャンならイブは教会だろう。クリスマスミサもあるし」

 谷田部の単細胞な疑問に、雫石は冷静に突っ込みを入れた。

「そういえば玲音もクリスチャンじゃなかったっけ? 教会は行かなくていいのか?」

 ガチャン、と食器が鳴った。
 雫石だった。
 いかにもヨーロッパ育ちらしく、普段は決して音を立てない雫石が、食器を鳴らして谷田部を睨んでいた。

「どこから聞いた、その話。僕は神を信じてはいない。だから教会にも行かない」

 硬質な瞳に映るのは、強い負の感情。
 雫石がここまで感情を露にするのを、谷田部は初めて見た。

「そうなのか。ま、俺も神様とか仏様とかまったく信じちゃいねえしな。お前の好きにすればいいさ」

 谷田部がそう言うと雫石は少しだけ肩の力を抜いた。

 それでも二人の間にはどことなく気まずい空気が流れ、それ以降双方一言も口を開かぬまま、ただ黙々と夕食を終えたのだった。
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