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喝采
第7章 目覚めよと呼ぶ声あり
「なあ、本当に帰るのか? すっげー辛そうなんだけど。……そういや玲音の家ってどこだ? 帰るなら送るぜ。危なっかしくてしょうがねえからな」
雫石は目を閉じたまま突然流暢なドイツ語で話し始めた。おそらくウィーンの住所だろう。雫石は生まれも育ちもウィーンだった。
「違う違う。ウィーンじゃなくて、日本の住所だよ。さすがにウィーンまでは送ってやれねえよ」
「あ、ああ。ごめん。コートの内ポケット……」
谷田部は雫石のコートから住所の書かれた紙切れを取り出した。住所を見ると、谷田部のマンションから程近い、ウィークリーマンションだった。
「あれ? 俺んちの近くだ。でもなんでウィークリー?」
「……僕の家はウィーンにある。日本に滞在するときはいつも、ホテルかウィークリーマンションだ」
「そうか。そうだよな。忘れてた。チェックアウトしてくるからささっと着替えてろよ」
「ありがとう」
谷田部は雫石の頭をひとつ掻き回してから部屋を出た。
雫石は目を閉じたまま突然流暢なドイツ語で話し始めた。おそらくウィーンの住所だろう。雫石は生まれも育ちもウィーンだった。
「違う違う。ウィーンじゃなくて、日本の住所だよ。さすがにウィーンまでは送ってやれねえよ」
「あ、ああ。ごめん。コートの内ポケット……」
谷田部は雫石のコートから住所の書かれた紙切れを取り出した。住所を見ると、谷田部のマンションから程近い、ウィークリーマンションだった。
「あれ? 俺んちの近くだ。でもなんでウィークリー?」
「……僕の家はウィーンにある。日本に滞在するときはいつも、ホテルかウィークリーマンションだ」
「そうか。そうだよな。忘れてた。チェックアウトしてくるからささっと着替えてろよ」
「ありがとう」
谷田部は雫石の頭をひとつ掻き回してから部屋を出た。