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喝采
第8章 満ち足れる安らい、嬉しき魂の喜びよ
成田空港から車で一時間半ほど走り、二人は谷田部の自宅マンションに到着した。
「兄貴の私物は全部引き上げたから、部屋は自由に使ってくれていいぜ。これが玄関の合鍵な」
雫石は礼を言い、鍵を受け取った。年末に雫石が使った部屋が、谷田部の兄の部屋だった。
「ちなみにこのマンションは全室完全防音だから、いつでも声出ししてくれて構わない」
「そうなのか」
「ああ。近くに音大があるんだ。住んでるのは音大生か、音楽でメシを食ってるヤツばかりだ。ウィークリーじゃ歌えねえだろ?」
「確かに。声出しできるのは正直助かる。近いうちに谷田部のご両親にルームシェアのお礼が言いたいんだが、いつがいいだろうか」
「たぶん向こうから来るんじゃねーか? ウチはみんな野次馬だからさ。来なかったら明日にでも俺の実家に連れて行ってやるよ」
そこへちょうどのタイミングでインターホンが鳴った。谷田部は「宅配便だったりして」とおどけ、応答する。画面には案の定谷田部の姉が映っていた。玄関の鍵を開けるとそこにいたのは姉だけではなかった。
「よう、やっぱり来たな……って全員集合じゃねえかよ!」
両親に加え姉と兄。仕事はどうしたと、谷田部はため息をついた。
「兄貴の私物は全部引き上げたから、部屋は自由に使ってくれていいぜ。これが玄関の合鍵な」
雫石は礼を言い、鍵を受け取った。年末に雫石が使った部屋が、谷田部の兄の部屋だった。
「ちなみにこのマンションは全室完全防音だから、いつでも声出ししてくれて構わない」
「そうなのか」
「ああ。近くに音大があるんだ。住んでるのは音大生か、音楽でメシを食ってるヤツばかりだ。ウィークリーじゃ歌えねえだろ?」
「確かに。声出しできるのは正直助かる。近いうちに谷田部のご両親にルームシェアのお礼が言いたいんだが、いつがいいだろうか」
「たぶん向こうから来るんじゃねーか? ウチはみんな野次馬だからさ。来なかったら明日にでも俺の実家に連れて行ってやるよ」
そこへちょうどのタイミングでインターホンが鳴った。谷田部は「宅配便だったりして」とおどけ、応答する。画面には案の定谷田部の姉が映っていた。玄関の鍵を開けるとそこにいたのは姉だけではなかった。
「よう、やっぱり来たな……って全員集合じゃねえかよ!」
両親に加え姉と兄。仕事はどうしたと、谷田部はため息をついた。