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喝采
第1章 ミサ曲ロ短調
「なんなんですか、あいつ! さっきのは確かに俺が悪いですけど、いきなり『バカなのか』とかあり得ないですから!」
「うーん、玲音はちょっとキツイ言い方するからねえ」
食ってかかられた斉賀はあまり気にした様子もなく苦笑している。
「でも根は優しくていい子なんだよ。そんなに嫌わないでほしいな」
「無理です! 初対面の人間をバカ呼ばわりする相手となんて歌えません! 俺も前のテノールみたいに降りてもいいですか!」
「まあ、待って。じゃあこうしようか」
鼻息の荒い谷田部に、斉賀は一つの案を提示した。
「今回玲音が怒ったのは、君にも原因がある。わかるよね」
「……はい」
我ながら無知でバカなことを言ったとは思う。でも、だからといっていきなり「バカなのか」と罵るのは、いい大人のする行為ではない。
「だからせめて、玲音の歌を聴いてから、どうするか決めてくれ。玲音の歌を聴いて、それでも谷田部っちが一緒に歌いたくないと思うなら降りてもいいよ」
「わかりました」
「じゃ決まりね、谷田部っち」
休憩のため三々五々散っていたメンバーはステージに揃っていた。雫石もすでに席に戻っている。
「さ、後半いっちゃうよ?」
緊張感の欠片もない斉賀の一声で、ステージに緊張感が戻る。
こうしてゲネラルプローべ後半が始まった。
「うーん、玲音はちょっとキツイ言い方するからねえ」
食ってかかられた斉賀はあまり気にした様子もなく苦笑している。
「でも根は優しくていい子なんだよ。そんなに嫌わないでほしいな」
「無理です! 初対面の人間をバカ呼ばわりする相手となんて歌えません! 俺も前のテノールみたいに降りてもいいですか!」
「まあ、待って。じゃあこうしようか」
鼻息の荒い谷田部に、斉賀は一つの案を提示した。
「今回玲音が怒ったのは、君にも原因がある。わかるよね」
「……はい」
我ながら無知でバカなことを言ったとは思う。でも、だからといっていきなり「バカなのか」と罵るのは、いい大人のする行為ではない。
「だからせめて、玲音の歌を聴いてから、どうするか決めてくれ。玲音の歌を聴いて、それでも谷田部っちが一緒に歌いたくないと思うなら降りてもいいよ」
「わかりました」
「じゃ決まりね、谷田部っち」
休憩のため三々五々散っていたメンバーはステージに揃っていた。雫石もすでに席に戻っている。
「さ、後半いっちゃうよ?」
緊張感の欠片もない斉賀の一声で、ステージに緊張感が戻る。
こうしてゲネラルプローべ後半が始まった。