この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
埋み火
第3章 跳ね火
博之が京都に行くのは今月……十月の下旬になった。
下半期に入り新プロジェクトが始まったため、博之はまた設計や試験といった大掛かりな仕事が詰まってきている。
それでも「普段からこれくらいの速度で仕事ができていれば」と思えるほどのスピードで会議資料作りと試験の報告書を水曜の午後にまとめ、木曜の朝にはいつも霧子を見送るだけだった東京駅……東海道新幹線のりばの改札を八時きっかりに急いで通った。
時間がかかる分いくらか安い「こだま」もあったが、霧子が会社を出る前に行ってみたい場所があったので早く着く「のぞみ」を選んだ。
(今はこうなってるのか)
やたら車内の左右をきょろきょろして、コンセントやテーブルを確認し、子供のように窓越しの富士山を楽しんだあとは京都まで仮眠を取ることにした。
下半期に入り新プロジェクトが始まったため、博之はまた設計や試験といった大掛かりな仕事が詰まってきている。
それでも「普段からこれくらいの速度で仕事ができていれば」と思えるほどのスピードで会議資料作りと試験の報告書を水曜の午後にまとめ、木曜の朝にはいつも霧子を見送るだけだった東京駅……東海道新幹線のりばの改札を八時きっかりに急いで通った。
時間がかかる分いくらか安い「こだま」もあったが、霧子が会社を出る前に行ってみたい場所があったので早く着く「のぞみ」を選んだ。
(今はこうなってるのか)
やたら車内の左右をきょろきょろして、コンセントやテーブルを確認し、子供のように窓越しの富士山を楽しんだあとは京都まで仮眠を取ることにした。