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埋み火
第3章 跳ね火
 半勃ちになっているのを知られたバツの悪さもあったが、今日の霧子の積極さに博之は驚いていた。

 洗面所横の壁に霧子に体を押し付けられると、唇をあわせながら股間を触られ続ける。

 いつもは霧子は受け身で、ベッドでも最初は全て博之のリードに身を任せる。

 おどけて「私、マグロなの」と笑うほどには恥ずかしがるのに、今日は雰囲気がずいぶんと違う。


「バックル、どうなってるのかわかんない。自分でベルト外して」

「え……」

「早く」


 堅くいきり立ち、上を向いたペニスの下の袋まで揉みだしたので、ベルトを博之はおずおずと外すやいなや、霧子はしゃがみこんで膝立ちになり、スラックスのファスナーをおろし、足首まで一気に下げてしまう。

 紺色のボクサーパンツの中心部はすでに黒っぽくちらりと濡れている。


「きり、いきなりかよ」

「うん」


 下着をおろすことなく、霧子は下着の濡れた部分に舌を這わせた。


「!」


 最初は舌先でくにゅくにゅと鈴口をいじってるだけだったが、動きがどんどん大胆になっていき、その口内に下着ごと博之の先端を収めて刺激しはじめた。

 下着の布地ごしにフェラチオされたことなど、もちろん博之は今までない。

 じかに口の中に含んでもらう方が気持ちいいに決まっているが、じわっと唾液が布地にしみこみ、濡れた布地を隔てて舌に刺激される何ともいえない独特な感覚に包まれてこれはこれでたまにいいかもしれない。

 完全なる硬さを持ったころには「ああ、仕事を頑張って片づけてきてよかった」と間抜けな感想しか頭には存在しなくなった。


「おい、きり……これ、あとで冷たくなるだろ……」

「うるさい」


 下着越しに陽物を夢中でしゃぶっていた霧子はボクサーパンツの両サイドに手をかけ、これも足首まで下ろしてしまう。

 勢いよく引き下げたため、一瞬バネのように飛び出たものが跳ねた。

 博之はジャケットと白いワイシャツを着ているのに下半身は丸裸で靴下だけは履いているという何とも情けない格好になった。
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