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埋み火
第3章 跳ね火
 霧子も博之の力強い抱擁の中で絶頂の余韻を味わった。


(ああ、ひろ。ひろが私をちゃんと抱いてくれた。ひろのものになれた)


 避妊しないことが愛情でもないし、むしろコンドームを使わなくてはお互いの立場があやうくなるだけだ。

 でもそれでも霧子はじかに博之に抱かれたかった。

 博之はコンドームを持ってきたとき、「こんなもんしばらく使ってないから」と言っていた。

 妻と避妊なしでしているのか、もうずっと性生活がないからそう言っているのかはわからない。

 でも過去に他の女に膣内射精をしているのなら、自分ともしてほしかった。
 
 妻としていることは、自分とも全部してほしい。

 博之をもっと感じてから帰途につくなり、博之を見送りたかったのだ。

 自分の中でどくどくと脈うちながらまだ放出を続ける男が心底、愛おしく霧子は涙を流した。
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