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埋み火
第3章 跳ね火
 精をぬぐい、初めて絶頂に達しその余韻を楽しんでいる霧子のわきで博之がベッドから立ち上がった。


「ちゃんと買ってきたぞ。渡すよ」

「このタイミングで?」


 双方、全裸でゆったりしているのに、と霧子は思った。


「そうだよ」

「ここは京都なのよ。私、もっとご飯のお店とか、風情があるところでもらえると思っていたわ」

「俺にそういう期待はするなよ」


 たいしたものは無理だけど、という前提で博之が「誕生日プレゼントは何が欲しい?」と先週電話で聞いてきた。

 その時、霧子は「おもちゃでいいから、指輪がほしい」と迷わずねだった。

 賢治に一万以上もする髪飾りをもらった後だったが、それはドレッサーの引き出しにしまいっぱなしである。

 初めての博之からもらえるプレゼント、と霧子はまるで子供のころのプレゼント交換のように楽しみにしていたが、まさか激しいセックスの事後に互いに一糸まとわぬ姿でぶっきらぼうに渡されるとは思っておらず、ムードのかけらもないため不承不承起き上がる。

 博之は腰に何か巻くことすらせず、鞄から小さい紙袋を出して無造作に渡してきた。
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