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埋み火
第3章 跳ね火
あなたがつけて、と霧子が左手を差し出して言うので博之がその薬指に嵌めてやると、その控え目なデザインのファッションリングは白い肌とこれ以上ないほどにマッチして存在感を放ちはじめた。
ジルコンだか何だか博之にはわからないが、真円ではないゆるやかなカーブを描くピンクゴールドのリングにそっと添えられた白い小さな石たちも霧子の清楚な美しさに呼応するのだ。
「やっぱり、このデザインでよかったな。派手なⅤ字のやつもあったんだけどね、お前っぽくないからさ」
「うん、うん」
霧子は再びベッドに体を横たえた。
タオルケットにくるまりながら、嬉しそうにずっと自分の左手を照明にかざし、眺めている。
まるで子供のようだ。
「だから、安物じゃねえか」
博之は愛おしさと呆れをまぜこぜにしながら眼下の女を見やった。
「そんなことないわよ。ほんとはね、雑貨屋さんの千円くらいのでよかったの。だって、次に喧嘩したら潔く捨てて今度こそさっぱり別れられるじゃない。……でも、こんなに素敵だったら、ずっと大事にするわ」
再び起き上がると、霧子はありがとう、と涙のにじむ目をつむり頬を寄せてきたので迷わず博之はキスをした。
ジルコンだか何だか博之にはわからないが、真円ではないゆるやかなカーブを描くピンクゴールドのリングにそっと添えられた白い小さな石たちも霧子の清楚な美しさに呼応するのだ。
「やっぱり、このデザインでよかったな。派手なⅤ字のやつもあったんだけどね、お前っぽくないからさ」
「うん、うん」
霧子は再びベッドに体を横たえた。
タオルケットにくるまりながら、嬉しそうにずっと自分の左手を照明にかざし、眺めている。
まるで子供のようだ。
「だから、安物じゃねえか」
博之は愛おしさと呆れをまぜこぜにしながら眼下の女を見やった。
「そんなことないわよ。ほんとはね、雑貨屋さんの千円くらいのでよかったの。だって、次に喧嘩したら潔く捨てて今度こそさっぱり別れられるじゃない。……でも、こんなに素敵だったら、ずっと大事にするわ」
再び起き上がると、霧子はありがとう、と涙のにじむ目をつむり頬を寄せてきたので迷わず博之はキスをした。