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埋み火
第3章 跳ね火
 何分もの間、霧子は博之の裏筋を舌先で徹底的に刺激し続けた。

 射精寸前の脈動を感じれば舌をぱっと離す、という徹底ぶりである。

 博之は女性のようにのけぞりながら喘ぎ続け、シーツを掴んで「もうイかせてくれ」と哀願した。


「わかった、って……言ったじゃないか。俺、もうずっと嫁としてないって……」

「これまでじゃなくて、これからの話」


 自分の唾液をローションがわりにして霧子は博之の胴幹をしごきながらカリを口に含む。

 博之は既に快感で後頭部がじんじんと痺れている。

 普通に話すことすらしんどいほどだ。


「もう、きりしかいらないよ……」

「うん」


 苦し紛れではなく、実際に博之はそう思っているのだが、霧子がなかなか信じないのだから困った。

 霧子に出会う前だって、妻とのセックスに願望や未練など何もなく、ずっとこのまま性欲は自慰で発散させて一生を終えるのだろうと思っていたくらいだ。


(なんだよ。M子のくせに、こんなSみたいなことするのかよ)


 苦しい快楽を与えられて、博之は声をしぼりだして哀願し続けた。


「俺はきりだけだから。もういっぺん中でイかせて」

「ふぅん。しょうがないな」


 タオルケットの中から頭を出した霧子がいたずらっぽい顔で笑った。

 少し、頬が紅潮している。


「あぁ、暑かった。気持ちよかった?」

「お前のこと、嫌いになるぞ」


 うふふ、とタオルケットをはねのけ、最初からバックの姿勢をとっておねだりする霧子に、今度は博之が起き上がり楔を打ちつけて喘がせる番だった。
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