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埋み火
第1章 忍び火
霧子は白いオーガンジーを重ねた膝丈のチュールスカートと紺色の半袖ブラウスに、鮮やかな黄色いコットン素材のパンプスという夏らしい装いで、どのアイテムも博之と今日会うことを意識して選んだものだ。
博之がこちらに気付く前に、物陰で霧子は軽く髪の毛を直す。
新幹線で本を読んだりする際に邪魔だから前髪を耳にかけていたのだが、博之が霧子の頬にかかる前髪が好きだからそれを下ろした。
駆け寄りたい衝動を抑えて霧子がゆっくり歩いて近づいていくのに気付いた博之が「お」と口を動かし、いじっていたスマホをワイシャツの胸ポケットに入れる。
博之の視線が霧子の顔からつま先まで移動し、最終的に唇を凝視する。
霧子の血色のよい唇は、透明なリップグロスだけで彩られている。
博之がこちらに気付く前に、物陰で霧子は軽く髪の毛を直す。
新幹線で本を読んだりする際に邪魔だから前髪を耳にかけていたのだが、博之が霧子の頬にかかる前髪が好きだからそれを下ろした。
駆け寄りたい衝動を抑えて霧子がゆっくり歩いて近づいていくのに気付いた博之が「お」と口を動かし、いじっていたスマホをワイシャツの胸ポケットに入れる。
博之の視線が霧子の顔からつま先まで移動し、最終的に唇を凝視する。
霧子の血色のよい唇は、透明なリップグロスだけで彩られている。