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埋み火
第1章 忍び火
 頭を撫でてやると霧子はまた唇にキスしながら片手で乳首をつまんできた。

 それからもう片方の親指の腹で裏筋や鈴口をぐりぐりと刺激する。

 あふれた透明な液のぬめりもあいまって、さらなる快感が押し寄せ博之を高みへ導こうとしはじめた。


「う、むぅ……」


 不本意と我慢ばかりの、今までの博之の人生にはない贅沢なフルコースだった。


(きりの手は気持ちいいなぁ、でも、早く舐めてくれないかな)


 チャットをしているだけでじゅうぶん癒されたのだから、最初はリアルの肉体関係になるのを逡巡していた。

 しかしこっそり有休を使って早退し霧子を初めて抱いた日に妻への罪悪感は消え失せた。

 十五年に及ぶ結婚生活の果てに自分は何かが壊れてしまったのだろうと思うが、この綺麗で小さな部屋で愛し合う時間は数か月に一度の至福といえる。

 好みの体つきの女が信じられないことに自分を好いていて、ベッドで今まで味わったことのない快感を与えてくれるのだ。

 そして自分の拙い性戯で喘ぎ、しがみついて可愛らしくねだってくるのだから、何が本当で何が嘘なのかもわからなくなった。

 だがそんなことはどうでもいい。

 霧子に出会えてよかった、とぼんやり思っていると熱く屹立した先端がその愛しい女の口内につるんと含まれ、博之は二か月ぶりの快感にまた体を震わせた。


「う、うぅ」
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