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埋み火
第1章 忍び火
 博之が先ほどの自分よりもよほど大きく体を何度も跳ねさせて悶えるのを見ながら、霧子は先端から溢れる透明な液を啜った。

 その液は誇張でも何でもなく「美味しい」と思えた。

 舌で舐め上げたり、鈴口に舌先を押しつけたり、裏筋を刺激したりしながら丹念に博之の気持ちよい部分をあますところなく攻めていく。


「ねぇ、俺の、臭くない?」

「ううん、全然よ」


 かすれた声でそう聴いてくるのを、「また気にしてるのね」と少し呆れながらじゅぽ、じゅぽと音を立ててペニスの先端をしっかり含んで中を真空状態のようにしてやや強めに吸ってやる。

 そうするとまた博之の体は断続的に痙攣する。

 さほど上手でもない霧子のバキュームでも、全く経験がないらしく初めて吸い上げられたときには博之はその快感が忘れられず思い出しては呆けっぱなしだったと言っていた。


(かわいいわ。こんなヘタなもので気持ちいいなんて)


 別れた夫はいろいろ頑張ってしてやったにも関わらず、さほど感謝もしてくれず日常と同じように「尽くして当たり前」だった。

 ところが博之はいつもデートの翌日は電話で「昨日のもよかった、蕩けた」と感謝を伝えてくる。

 腹筋を何度も震わせて喘ぎ、霧子にすべてをゆだねながらだらだらと垂らす博之の体液もまた、ほのかな潮の香りがした。


 博之は女性の口内に射精したこともないと言うので、デートに生理が運悪く重なってしまったときにはいつにもましてたっぷりと口戯を味わわせた。

 手や膣とも全く違う質の快感に最後まで導かれ、恍惚とする中で脈うちながら放った熱く白いとろみを一滴のこらず最後まで丁寧に吸い出された博之は感動に体をわななかせながら「ありがとう、死ぬほど気持ちよかったよ」と感極まって霧子を抱きしめた。
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