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埋み火
第1章 忍び火
 かすれたうめき声をあげ、なんとも言葉にできない気持ち良い部分を押され続けながら博之は身をのけぞらせて快感に浸っていた。

 当時つきあいはじめだった妻が妊娠してなしくずしに結婚してから、もっぱら性欲の処理は自分で行っていたが、こんな部分が刺激に弱いとはこの年まで知らなかった。

 自分が今までしていた、知っていたはずのセックスとは何だったのだろう。


「お前、浮気しただろ」

「え?」


 たて、よこと舌先を早く動かして裏筋を小刻みに刺激していた霧子が驚いた顔を上げる。


「すげぇ、いい。なんか、前よりうまくなってるぞ」


 いつも霧子の舌戯で博之は骨抜きにされているが、今日は一段と気持ちいい。

 かすれた声で問い詰めてみる。


「誰だ。誰と寝たんだ」

「いつもと同じでしょ?」

「そうか?」

「うん。久しぶりだからよ」


 霧子は舌を口からべろんと出し、ペニスの裏側に密着させるとゆっくり上下に頭ぜんたいを動かした。

 ざらざらした舌に裏筋を広く刺激され、それで快感に震えればよけいに舌が擦れて黙っていても刺激が走るという仕組みだ。


「なんだ、それ、気持ちいい」

「うん。ちゃんとネットで調べたのよ。もちろん、試すのは今日が初めて」

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