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埋み火
第2章 熾し火
「じゃ、来週の土曜、一時くらいに京都駅の改札集合にしよっか。しばらく行ってないから忘れたんやけど、どの改札がええの?」

「地上の中央口でいいと思います」

「そっか。晩飯の店は霧ちゃんが探しておいてくれるかな? 女の子のほうがおしゃれな店は詳しいやろ。食べたいもん、何でもいいよ」

「わかりました」


 いっそう強く賢治が手を握ってきた。


「もう、敬語もやめや」

「……うん」

「じゃ、夜も遅いしほんま気ぃつけて帰ってな。来週、楽しみにしとるよ」

「ありがとう、おやすみなさい」


 車を降りて会釈し、駅舎に入るまでに霧子は振りかえらなかった。

 博之との別れ際は、改札を挟んでいつまでも霧子がホームに行かないので博之が呆れていた。

「そんな泣きそうな顔されると、俺がつらいだろ」と怒られるのだが、それでも別れのたびに霧子は半分泣きながらホームへのエスカレーターを上ったり、はたまた浜松町駅の階段を上って行く博之を見送ったりしていた。

 自分がひとり京都へ帰っていくのも寂しかったし、博之が妻子のいる家に帰っていくのもまた辛かった。

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