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埋み火
第2章 熾し火
 賢治はしつこく口づけてキスを堪能した。

 口内をかき回すだけでなく唇そのものも舌で舐め回す。


(霧ちゃんの唇、甘くてやわやわでめっちゃええわ。おいしそうな唇だったのは昔からやったけど、ほんま色っぽくなっとる。たまらんなぁ)


 有能、とまではいかなくとも笑顔で挨拶をして窓口に座る霧子は可愛らしく、一緒に仕事をしていて楽しかった。

 お嬢様らしいところもあれば妙に観察眼が鋭くもあり、年上の役席たちにはうけがよかった。

 自分もそのときすでに結婚して小さな子供がいたにもかかわらず、結婚ののちに霧子が退職したときは「寂しい」と思ったものだった。

 そのころ、裸の霧子を組み敷く妄想まで毎晩するようになっていたからだ。

 そんな霧子に、自分は妻子持ちなのだから泊まりのデートまでは断られると思っていただけに相当な幸運だと賢治は思う。


「はぁ……霧ちゃん……」


 押さえつけていた両の手首を離し、かわりに手をつなぎ指を絡める。

 賢治からすれば女性の手はやはり小さくて可愛らしい。

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