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埋み火
第2章 熾し火
 賢治の下半身がすっかりその気でいるのが怖くて霧子は叫びそうだった。

 しかし若い娘でもあるまいし、怖いからやめてと言っても笑われるだけだろう。

 バツイチなのだし、年齢的にもこれが妥当な扱われ方なのだと霧子は悲しくなった。

 たった数度のデートだったのに、もう博之の臆病なまでの優しい手つきに体は慣れきっていたようだ。


「こっちはどうかな?」


 賢治はスカートをまくり上げると強引に下着の中に手を突っ込み、まさぐる。

 彼の中では「セックス=挿入」なのかもしれないと霧子は思いはじめていた。

 唾液を流し込まれ、いやでも体が反応して潤みだしているのがわかった賢治はますます興奮しながらまた唇をむさぼる。


「あのころは霧ちゃん、結婚したばっかやったからね。でも、霧ちゃんがええなってずっと思ってたんよ」

「やぁ……」


 からからに乾いた喉からは、はっきりした拒絶の言葉が出せずかろうじて動いた右手で迫る賢治の胸を押し返した。

 しかし賢治の厚い胸板はびくともせず、そんな仕草は逆に男の興奮を助長させる仕草でしかなかった。

 激しく指を出し入れされると、わずかな痛みとともに淫靡な水音が聞こえ、賢治の息がますます荒くなる。

 そんな時ふと、のしかかっていた重みが感じられなくなったので、「やめてくれるのか」と思って目を開いて賢治を見上げると、優しく舞鶴を案内してくれた面影はかけらもなく、少し充血した目で霧子の下腹部を見ながら下着の中に手を入れて夢中で指を動かしていた。

「いや、いやぁ……」

 首を左右に振って霧子が嫌がれば嫌がるほどに賢治は興奮が高まり、霧子の大切な部分に指を入れながらまた覆いかぶさり頬や唇にキスを繰り返す。
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