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埋み火
第2章 熾し火
 霧子が濡れやすい体らしいとわかると賢治はいっそう興奮した。

 これほど濡れているのに入口も中もきつくて指が二本も入らないのだから、早く挿れてその締め付けを味わいたくてたまらない。

 だが、その前に賢治は数年前に抱いていた妄想を実現させたいと思った。


「霧ちゃんは、男の人のを口でしたことはあんのかな?」


 霧子が答えないでいるので賢治は待ちきれず、「してほしいな」と腕を引いて霧子の上半身を起こさせ、賢治はベッドの上に立ち上がり、そそり立つ股間を目の前に突き出してきた。

 触れる……手を添える気にもなれなかったが観念した霧子は目をつぶって口を少し開けてきたので、賢治は嬉しそうに硬くなった陽物をねじこんだ。


「んっ……」

「ああ、あっ、気持ちいい……霧ちゃんの口、すごくええよ、上手やね」


 あたたかい口内と舌に触れ、想像以上の快感にぶるっと体を震わせた賢治は霧子の両肩に手をかけて小刻みに腰を動かしだす。

 ときおり、頭を撫でる。


(ううん、最高やぁ。夢が叶ったわ)


 天橋立では景色にはさして興味もなく、ただ霧子の濡れた唇を見ていた。必死に欲望を抑え手を握るだけにとどめていたが、人さえいなければ、霧子を帰してやるJRの時間を気にしなければ、我慢できずにもっといやらしいことをしていただろうと思える。

 伏見支店時代にも、霧子がどのように帰ってから夫に奉仕しているのか妄想が止まらない夜があった。

 霧子が退職して自分も伏見から山科、舞鶴に異動して周囲も認める「いい父親」になっていく中でそんな女性へ抱く情欲は消え去ったと思っていたが、内奥に眠っていたものがあのころよりもはるかに激しく燃え盛りだしたのを賢治は自覚した。

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