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忘れられし花
第2章 兄と弟
奏は次に当主がこの離れに渡って来た時には、奏の身に代えてでもお方様を守ろうと、固く決意をしていた。
だが、その日は永遠に来なかった。
お方様が意識を取り戻したちょうどその日、屋敷中を震撼させる大事件が起こったのだ。
鷹取家当主の女婿、正人が所用で屋敷を留守にしていた晩、正人の不在を知った当主が、またもや娘の菊子に伽を強要した。そこへ急に予定が変わり帰宅した正人が、寝室で同禽する妻と義父に運悪く鉢合わせをしてしまった。激昂した正人は寝室に飾られていた刀で二人を斬り殺したのち、自害して果てたのだ。
一度に当主を含む三人の鷹取家の人間が亡くなるという、凄惨な事件だった。
この離れは幸いにも本館から遠く離れているため、騒ぎに直接巻き込まれることはなかった。だが、翌朝、事件の詳細を松永から聞かされたお方様は非常な衝撃を受け、再び倒れてしまった。
だが、その日は永遠に来なかった。
お方様が意識を取り戻したちょうどその日、屋敷中を震撼させる大事件が起こったのだ。
鷹取家当主の女婿、正人が所用で屋敷を留守にしていた晩、正人の不在を知った当主が、またもや娘の菊子に伽を強要した。そこへ急に予定が変わり帰宅した正人が、寝室で同禽する妻と義父に運悪く鉢合わせをしてしまった。激昂した正人は寝室に飾られていた刀で二人を斬り殺したのち、自害して果てたのだ。
一度に当主を含む三人の鷹取家の人間が亡くなるという、凄惨な事件だった。
この離れは幸いにも本館から遠く離れているため、騒ぎに直接巻き込まれることはなかった。だが、翌朝、事件の詳細を松永から聞かされたお方様は非常な衝撃を受け、再び倒れてしまった。