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忘れられし花
第6章 心の光
「兄上、泣いていらっしゃるのですか?」
「いいえ。私の目はどんなに悲しくても、涙を流すことはできません」
予想もしなかったお方様の言葉に、馨が体を強ばらせた。辛い宿命を背負った兄には、泣くことすらも許されないのか。
「ですが当主様のそのお言葉だけで、私はこの先一生生きてゆけます。既に鷹取家という大きなものを背負っていらっしゃる当主様に、これ以上の重荷を背負わせる訳にはまいりません」
お方様は静かに微笑んだ。その微笑みはまるで天上から降り注ぐ光のようだった。限りなく清らかで、限りなく柔らかな光。
誰よりも気高い心を持つ兄は、鷹取家に差す一筋の光なのだと馨は思った。
「いいえ。私の目はどんなに悲しくても、涙を流すことはできません」
予想もしなかったお方様の言葉に、馨が体を強ばらせた。辛い宿命を背負った兄には、泣くことすらも許されないのか。
「ですが当主様のそのお言葉だけで、私はこの先一生生きてゆけます。既に鷹取家という大きなものを背負っていらっしゃる当主様に、これ以上の重荷を背負わせる訳にはまいりません」
お方様は静かに微笑んだ。その微笑みはまるで天上から降り注ぐ光のようだった。限りなく清らかで、限りなく柔らかな光。
誰よりも気高い心を持つ兄は、鷹取家に差す一筋の光なのだと馨は思った。