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忘れられし花
第8章 悪夢の再来
 奏も光も、侵入者の正体に驚いた。
 前当主の弟ということは、光の叔父にあたるということだ。
 しかも、どうやら光の生い立ちを知っているらしい。

「お初にお目にかかります、叔父上」

 光は初めて会う叔父に、礼儀正しく挨拶した。
 おっとりと挨拶などしている光に、奏は歯噛みした。
 何せ元久は奏を縛り上げて床に転がした上に、刀まで手にしているのだ。普通の訪問ではないことは、明らかだった。

「菊子以上に華子殿に似ておる。この容姿では兄上が執着なされたのも無理もないわ」

 元久は白く光の頬を、皺だらけの手でざらりと撫でた。

「教えてやろう。お前の祖母華子殿は元々儂の婚約者だった。それを兄上が儂から奪い、強引に婚儀を行ったのだ。そして華子殿は菊子を出産した際、産褥で亡くなった。いつも兄上は儂から全てを奪ってゆく……。だがもう兄上はおらぬ。ようやく華子殿は儂のものになったのだ!」
「谷山はどうしたのですか」

 光は元久の手を嫌がるように、顔を背けた。

「谷山というのはこの小僧のことか。儂の邪魔をせぬよう、少々黙らせてある。なに、命まで取ってはおらぬ。くくく、見せ物は客がおらぬと寂しかろう?」

 元久は常軌を逸した目つきで、光を見つめていた。

「谷山とやら。華子殿が儂のものになる様を、そこでとっくりと見ておるがいい」

 下衆な前当主の弟は、やはり下衆な輩だった。
 光に何かしたら、許さない。
 奏は縄からなんとか抜け出そうと暴れるが、縄が手足に余計食い込んだだけだった。
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