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忘れられし花
第8章 悪夢の再来
 元久は嫌がる光を易々と布団に押し倒した。左手だけで光を押さえ込み、右手で寝巻きを乱暴に裂く。
 半裸になった光は、白磁のような滑らかな柔肌を元久に晒していた。
 その柔肌のあちこちに、前当主から長きに渡って虐待を受けた傷が残っているのが、見ていて痛々しい。
 怒りと羞恥のためか、光の白い肌はほんのり赤く染まっていた。

「おやめください」
「抵抗をしても無駄だ。暴れたところでどのみちその足では逃げられまい。次に抵抗したらそこの小僧を殺す」
「……わかりました。谷山には決して手を出さないでください」
「お前が大人しくしておれば、小僧には何もせぬ」

 元久の言葉に、光が力を抜いたのがわかった。

 元久は、光を目の前にしながらも、光を見てはいなかった。
 光を華子と呼び、その体を上から下まで執拗に愛撫してゆく。

 顔から首筋へ。
 首筋から胸へ。

「お前は儂のものだ。決して離しはせぬ、華子……」

 光の白い体を弄ぶその目つきは、完全に狂人のものだった。
 光は元久の愛撫に健気に耐えながらも、時折びくりと体が反応する。

 胸から腹へ。
 そして元久の手が、さらに腹の下へと這った。

 ――そこだけは!

 奏は必死にもがいたが、縄は緩みもしなかった。縄が食い込んだ手首には血が滲んだ。

 光は元久に何をされても、全く抵抗をしなかった。
 思わず漏れる声すらも抑え込み、白い綺麗な裸身を元久にいいように弄ばれ続けた。

 ようやく元久の手が、下腹部を離れた。
 元久は光の体に馬乗りになり、細い頸に手を掛け、けたたましく笑いながら締め上げる。だが光は抵抗する様子を見せなかった。静かに横たわり、微笑んでいるようにさえ見えた。

 奏のせいだった。
 光が大人しくしていれば奏には何もしないと、元久が言ったから、光は抵抗ができないのだ。

 奏の目に涙が滲んだ。

 誰か、光様を助けて……!
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