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忘れられし花
第9章 悪夢を越えて
「僕は絶対に大丈夫です。だから光様は遠慮なく僕に触ってください。僕も今からたくさん光様に触ります。それが『抱く』ということです」
奏は押し倒した光の体にそっと覆い被さった。
体が弱い光は、常人に比べると遥かに体力がない。体に負担がかからないよう手短に、それでも光にきちんと気持ちよくなってもらうのが、奏の腕の見せどころだった。
奏は光の緊張をほぐすように声をかけながらゆっくりと全身を優しい手つきで愛撫する。
じっくりと愛撫を繰り返すうち、光の体は次第に紅潮し息を荒げ始めた。
「大丈夫ですか、光様。苦しくありませんか?」
胸を大きく上下させ荒い呼吸を繰り返す光が心配になって、奏は声をかけた。
「体が……熱いのです」
熱が上がってしまったかと、額に触れるが熱はなかった。体が熱いのは熱のためではなかった。
――光の内側から沸き上がる、男性としての昂りのせい。
「それは光様の体が僕を求めているんです」
「私の体が……? すみません、谷山……。私は……」
光は奏の名を呼んで謝罪した。奏は苦笑し光の首筋に優しく口づけを落とした。光は何も悪くない。
「謝らなくていいんです。情事は情交とも言います。情を交わすんです。どちらか一方だけが愉しいとか、そんなものは僕は絶対に認めません。互いに求め合うのが正しい姿なんです」
今までの光にとって情事とは、ただ嬲られるだけの辛く苦しいことでしかなかった。体を撫で回す相手の手指に感じてしまうのも、厭わしく恥ずべきことでしかなかった。そんな一方的で暴力的な情事などではなく、愛のある本当の情事を奏は教えたかった。
そして奏の名を呼びながら光の手を握り、奏はひたすら愛撫し続けた。
奏は押し倒した光の体にそっと覆い被さった。
体が弱い光は、常人に比べると遥かに体力がない。体に負担がかからないよう手短に、それでも光にきちんと気持ちよくなってもらうのが、奏の腕の見せどころだった。
奏は光の緊張をほぐすように声をかけながらゆっくりと全身を優しい手つきで愛撫する。
じっくりと愛撫を繰り返すうち、光の体は次第に紅潮し息を荒げ始めた。
「大丈夫ですか、光様。苦しくありませんか?」
胸を大きく上下させ荒い呼吸を繰り返す光が心配になって、奏は声をかけた。
「体が……熱いのです」
熱が上がってしまったかと、額に触れるが熱はなかった。体が熱いのは熱のためではなかった。
――光の内側から沸き上がる、男性としての昂りのせい。
「それは光様の体が僕を求めているんです」
「私の体が……? すみません、谷山……。私は……」
光は奏の名を呼んで謝罪した。奏は苦笑し光の首筋に優しく口づけを落とした。光は何も悪くない。
「謝らなくていいんです。情事は情交とも言います。情を交わすんです。どちらか一方だけが愉しいとか、そんなものは僕は絶対に認めません。互いに求め合うのが正しい姿なんです」
今までの光にとって情事とは、ただ嬲られるだけの辛く苦しいことでしかなかった。体を撫で回す相手の手指に感じてしまうのも、厭わしく恥ずべきことでしかなかった。そんな一方的で暴力的な情事などではなく、愛のある本当の情事を奏は教えたかった。
そして奏の名を呼びながら光の手を握り、奏はひたすら愛撫し続けた。