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忘れられし花
第13章 鷹取に咲くべき花
 貴晴は兄に言い寄った。

「兄上。どうしてわざわざ光様を選んで攫ってきたのですか? 鷹取家の方々はお目のご不自由な光様のことを大層ご心配なさっているはずです。ああ、大事なお方だからこそ人質になり得るのですね。よくわかりました。ですが、どうせ攫うなら、他にもっと嫌な奴を攫ってくればよかったのです。鷹取家には嫌な奴がいっぱいいると仰っていたじゃないですか。そうしたらもっと遠慮なく鷹取家を叩けたのですから。僕なら絶対にそうします。光様。この屋敷では何の心配もいりません。全て高坂にお申し付けください。僕ができうる限りご要望にお答えいたします。そして忌み子であろうとなかろうと、僕にとって光様が光様であることに変わりはありません。兄や高坂にとっても同じです。ですからこの鷲尾家では遠慮などご無用です」
「貴晴。人と話すときは、要点だけを言えと言っているだろう」

 貴雅はうんざり顔だ。貴晴はやたらと口数が多く、会話をするのに非常に骨が折れる。

「ですからこのように手短にまとめているではありませんか。これ以上短くしろというのは、袖無しシャツの袖を詰めろと言っているようなものです。こんな短い話を理解できないのは、聞き手の理解力が足りないからです。兄上にはご理解いただいているものとばかり思っておりましたが、非常に残念でなりません」
「……もういい。で、何をしに来た」
「もちろん鷹取から来たお方にご挨拶に。兄上は私には紹介してくださらないだろうと思いましたから。ああ、もう少し早くご挨拶に伺えばよかった。この貴晴、一生の不覚です」

 貴晴はもう一度光の手を握りしめた。

「挨拶は済んだな。では帰れ」

 二人の会話を聞いていた光が、くすりと笑った。
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