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忘れられし花
第13章 鷹取に咲くべき花
 光は静かに高坂の言葉に耳を傾けていた。

「お強いのですね」

 高坂が真実を告げても身じろぎひとつしない光。まるで高価な陶器人形のようだ。高坂は光に魅入られたかのように、動くことができなかった。

「いいえ。そう見えますか?」

 ふわりと、それまで人形のように動かずにいた光が、微かに微笑んだ。たったそれだけで、部屋の空気が一気に柔らかくなる。

 鷹取家の離れの奥に、当主にとって重要な人物がいるから拉致して取引の材料にするよう進言したのは高坂だ。だが、それは光が生まれつき非常に虚弱であることを、高坂が知らなかったから。
 高坂は医師として後悔の念に駆られていた。

 光は鷹取家から摘むべき花ではなかった。鷹取家に咲くべき、たおやかで可憐な花だった。
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