この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
忘れられし花
第17章 目覚めよと呼ぶ声あり
「峠は越えました。もう大丈夫でしょう」
往診に訪れた高坂が、太鼓判を押した。再び眠ってしまった光の意識はまだ戻らないが、呼吸は随分と落ち着いていた。
「よかった……」
「ですが、まだ油断はなりません。回復するまで、風邪などは絶対に引かせてはいけません」
「高坂さん」
「なんでしょう」
「……ありがとうございました」
何度も何度も、こうして高坂は光の診察に来てくれた。そして何度も何度も、看病をする奏を励ましてくれた。
「私の力ではありません。すべては光様の精神力と、あなたの献身的な看病のお陰です」
高坂は静かに一礼すると、鷲尾家に戻っていった。
静かに眠る光を見つめながら、奏は心の中でもう一度高坂に感謝した。自分の秘書を何度も遣わしてくれた貴雅にも。高坂は謙遜していたが、高坂の処方した薬と的確な指示により、光は回復したのだ。
奏は今まで医師というものを信じていなかったが、本物の医師とは何と有り難いものなのか。
奏は医師の素晴らしさを初めて知ったのだった。
往診に訪れた高坂が、太鼓判を押した。再び眠ってしまった光の意識はまだ戻らないが、呼吸は随分と落ち着いていた。
「よかった……」
「ですが、まだ油断はなりません。回復するまで、風邪などは絶対に引かせてはいけません」
「高坂さん」
「なんでしょう」
「……ありがとうございました」
何度も何度も、こうして高坂は光の診察に来てくれた。そして何度も何度も、看病をする奏を励ましてくれた。
「私の力ではありません。すべては光様の精神力と、あなたの献身的な看病のお陰です」
高坂は静かに一礼すると、鷲尾家に戻っていった。
静かに眠る光を見つめながら、奏は心の中でもう一度高坂に感謝した。自分の秘書を何度も遣わしてくれた貴雅にも。高坂は謙遜していたが、高坂の処方した薬と的確な指示により、光は回復したのだ。
奏は今まで医師というものを信じていなかったが、本物の医師とは何と有り難いものなのか。
奏は医師の素晴らしさを初めて知ったのだった。