この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
忘れられし花
第18章 花嵐
「正式に、です。光様。馨様はすでに承諾済みです」
「……馨様。どういうことでしょうか」

 突然のことで驚く光に、馨は奏を光の正式な男妾とすることを告げた。
 光はすぐにどういうことなのか理解したが、イヤイヤをする子供のように首を振り、二人から顔を背けた。

「それはできません。私は奏を、私や鷹取家に縛り付けたくはありません。忌み子と人生を共にするなど、愚の骨頂です」

 奏は光が顔を背けた側に回り込んだ。行儀よく膝に置かれた手を握り、何とか光を説得しようと試みる。

「どうしてですか? 光様と一緒にいられるなら、僕は愚かだってなんだっていいです。光様が忌み子だって関係ありません。僕は……、僕は、光様を愛しています! だから、光様、僕を貰ってください!」

 光はもう一度、奏と反対側に顔を背けた。苦しげに眉を寄せ、俯いて固く拳を握った。盲目の光はいつも敏感に人の心を感じ取る。そんな光が、奏の想いに気づかぬはずもない。けれど、だからからこそ光は苦しんでいた。

「できるはずがありません。私とてあなたを心の底から愛しています。だからこそ、先の短く体の不自由な私に、あなたを縛り付けることなどできません。私は、あなたを縛り付ける私自身の不甲斐ない体が許せないのです!」

 愛を告げるにしてはあまりにも苦悩に満ちた、血を吐くような叫び。

 自らの不自由な体に対して、光が秘めていた感情を露にするのは、これが初めてだった。
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ