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第14章 てい付気に恋のこ 章61第
何も言えないまま
俺はゆっくりと桜に手を差し出した。
桜は
ジッと俺の腕を見つめて、そして細い自分の腕を伸ばして俺の腕を掴む。
軽く引っ張って、桜を立ち上がらせると、そのまま俺は手を離した。
「………中、入るぞ」
ようやく言葉を発して、俺はそのまま店内に入る。
後ろから、桜が黙って俺の後をついてきているのが分かった。
扉が閉まって、俺はカウンターの中へ逃げる。
何から話していいのか。
2年以上も抑え込んでいた気持ち。
ようやく決心してぶちまけようとしたら、
兄貴の口から桜に伝わって。
その意味が桜に伝わっているのかは分からない。
でも
とにかく情けなくて。
ただただ自分に腹が立って何も言うことができない。
今は一回落ち着いて冷静になりたい。
俺は普通のフリをして、桜にグラスを拭くように頼んだ。