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第14章 てい付気に恋のこ 章61第

至近距離で、桜を見つめる。


突然に迫った俺に動揺しながらも、必死に俺の言葉を聞こうとしている。



そんな桜の姿を見て、思わずはぁ…と息を吐いた。




落ち着こうと、目を瞑る。



でも落ち着ける訳が無い。



溢れ返っている熱い想い──



それは怒りにも似ていて、俺は再び目を開いて、桜を見つめた。




「……俺は…バツイチのいい歳した大人なんだよ」




恋だとか…愛だとか……そんなことで騒ぐ男でも、年でも性格でもねぇのにっ……



「その大人が、10も年下の女に、『本気で惚れた』なんて、言えると思ってんのかっ…」





桜が軽く目を見開いて、小さく息を飲んだのが分かった。





「それに…散々な目にあってズタズタのお前に、俺の気持ちぶちまけても……余計な悩みを増やすだけだろ」





唇を噛んで、俺は俯いた。



思わずキスをしてしまった時のあの桜の表情。



それは俺が一番恐れていた事態で……




「………だから言える訳ねぇ」



困らせることだけは……したくなかった…



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