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第14章 てい付気に恋のこ 章61第
「すっ…すみませんっ……」
いえいえ、と言いながら起き上がる桜に手を貸すその男を再び眺める。
俺と同じくらいの背だが、体型はスラりとしている。
落ち着いているが、年齢は桜と同じくらいか何なら年下だろう。
芸能人かなんかか?
男の俺が見てもそう思わずにはいられないほどの整った顔立ち。
極め付けに完璧にスーツを着こなしているその男は、黒髪をサラサラと靡かせながら、桜に微笑む。
何とか立ち上がった桜は、俺の隣に来ると、その男を見てハッと息を飲んだ。
「あの時のっ……」
ん……? 桜の知り合いか?
そう思ったが、男の方は首を傾げている。
「以前お会いしましたでしょうか…?」
訳が分からず疑問に思っていると、男の後ろから七三の変な男が顔を出した。
「どうです?入れそうですか、関根さん」
鈍感無神経な兄貴を彷彿とさせるガキみてぇな顔。
兄貴と同じく少しでも童顔をごまかそうと、髪を七三にしてるんだろうが、こいつも効果がねぇ。
むしろ、顔と髪が合ってなくて変だ。
そんな事を思っていると、関根と呼ばれた方の男が俺に向かって話し掛けてきた、
「開店時間を過ぎていたようだし、看板も出ていなかったから、扉を開いたのですが……まだ準備中でしょうか?」
「「えっ…」」
奴の言葉に俺と桜が声を合わせる。
そして、店内の時計に目をやって、あ…と声を洩らした。