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いつも隣に
第2章 春


私は一瞬血の気が引いた。


もしや、先程私が横目で見ていたのを感ずいていたんではないかと。
そして、怒りの矛先が私に向き喧嘩の予兆ではないが八つ当たりか何かを言いにきたのではないかと。





だが、私の勘は違ったようだ。




隣の部屋の前で泣き崩れ、ドアノブに手をかけていた片手がゆっくりと地面へ落ちていく。
決して大声で泣いていないが、涙をこらえきれず口を片手で被い静かに泣いていた。


私は何も言わず、ただその女性の傍に腰をおろし背中を優しく擦る事しかできなかった。


女性は一瞬驚いた顔で私の顔を見たが、そこから再び眉を下げ目に溜まった涙を流し始め、声をあげ私の胸に抱き付き数分の間泣き続けた。





「すみません…。服汚しましたよね。」




鼻を啜りながら涙を手でふき、私の服の心配をし始めた。




「あぁ、これくらい大丈夫ですよ。気にしないで下さい。」




私の服には女性の涙で流れたファンデーションやマスカラが付いていた。




「ダメです、ダメです!こっちで洗って返しますので。それくらいさせて下さい。」



女性の必死な言葉に折れ、夜入浴後に服を持って行くことにした。


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