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ずっと傍に……
第31章 進むべき道…
「気負わずに行ってこい!」
4限目の家庭科の授業で教師デビューする私に、隣の席の小林先生は背中をバンバンと叩いてカツを入れてくれた。
小林先生と堀内先生の間の席の私は心強い。
後で聞いたことだけど、私のために堀内先生の机を移動したとの事。
この配慮に目頭が熱くなった。
「はい。頑張ってきます」
「だから頑張るなって…授業をするのは堀内先生なんだからな。陽葵先生は、堀内先生がどんな風に授業を進めていくのか見てればいい。」
意気込む私に苦笑いしながら背中を押してくれた。
知っている数名の先生に激励を受けて職員室をでようとすると、校長室から三輪田校長が出てきた。
「いよいよだな。教師とは大変な仕事だけど、やりがいはある。子供たちと真摯に向き合っていれば生徒たちは慕ってくれるよ。」
三輪田校長も優しく微笑み、緊張している私の背中を押してくれた。
正直、こんなに恵まれている職場はないと思う。
1年と短い期間だけど、それを無駄にしたくないと思い逆に変な力が入ってしまった。