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ずっと傍に……
第31章 進むべき道…
「陽葵先生。スマイルスマイル」
教室に入る前に堀内先生が明るく声をかけてくれても、緊張が消えることはなかった。
「小林先生の言う通り、当分は様子見だから緊張しないで。私の方が緊張しちゃう」
可愛らしく笑う堀内先生は慣れた感じで教室のドアを開けて中に入って行った。
その後を恐る恐る入ると、生徒の視線を一身に受ける。
その視線に驚いて足が止まった。
「ほらほらっ。そんなに見ないの。」
手をパンパンと叩いて視線を私の方に向け私を手招きする。
「知ってる子もいると思うけど、先生は二学期いっぱいで産休に入ります。私の後を引き継いでくれる陽葵先生です。陽葵先生挨拶をどうぞ」
そういう流れだと分かっていても、いざその時になると頭が真っ白になる。
ちゃんと挨拶の言葉を考えて来ていたのに、それさえも飛んでしまって不覚にも泣きそうになった。
それでも生徒の視線は全て私に向けられていて、何かを言わなければと焦る。